アパートを探すにあたり、皆さんは建物の構造を気にされて物件を探されますか?
今回は過去鉄筋コンクリート造・鉄骨造・木造すべてのアパートやマンションなどの集合住宅に居住もしている不動産屋として感じているメリットデメリットをご紹介。
知らずに木造アパートに住んで「知らなかった。後悔した・・・。」と後悔してしまう人も少なくはありません。
木造アパートってはっきり言うと人気はないけど、実際はどうなのかな?
目次
アパートの構造って何があるの?
建物には大きく分けて以下の構造があります。
- 木造(W造):木材を主要構造材として使用した、温かみがあり、比較的建築コストを抑えられる構造です。
- 鉄骨造(S造):柱や梁に鉄骨を使用した、木造よりも強度が高く、比較的広い空間を作りやすい構造です。
- 鉄筋コンクリート造(RC造:鉄筋とコンクリートを組み合わせた、耐震性・耐火性・遮音性に優れた、頑丈な構造です。

詳細は上記の記事を読んでいただけると詳しく解説しています。
値段で言えば当然木造で建てるのが最も安く済むことが多いため、アパートオーナーとしては負担が少なくなります。
また、同規模の建物を建てる場合、建築コストが安い分運用利回り(一年間でコストの何パーセント回収できるか)はよくなる傾向があり、建設会社としても営業しやすいとも言えます。
木造アパートに住んでみてどうだったの?
それではお待たせしました。本題の木造アパートは実際どうなのかというところについてお話していきますね。
結論としてはそれぞれの構造にはメリットデメリットがありますので、問題ない気にしないということであれば、木造アパートは一番いい選択肢といえると思います。

木造アパートを選ぶメリット
木造アパートはこんなメリットが考えられます。
- 家賃が安い
- 選択肢が多い
- 通気性がいい
- 空間を活用しやすい
- 壁に物を掛けやすい
それではそれぞれ少し詳しくお話ししますね。
家賃が安い
最初にお伝えした通り、木造のアパートは建築コストが安いため、家賃設定もほかの構造と比べて家賃が安価に設定されていることが多いです。
このページを見られている方は心当たりがあると思いますが、木造のアパートはほかの構造と比べて悪いんじゃないかという考えを持たれている方もいらっしゃるため、安く設定しているという側面ももちろんあります。
一方鉄筋コンクリート造は高層のマンションなどが多く、家賃は同じエリアの同じ間取りでもだいぶ変わってくることでしょう。
何より安さを重視したいなら木造アパート一択だね。
選択肢が広がる
次は選択肢が多いという点です。
日本にある建物は全体でみれば圧倒的に木造の建物が大半です。
アパートやマンションといった共同住宅に関して言えば、鉄筋コンクリート造が7割程度となり、こちらの方が1件当たりの戸数も多いためお部屋の数で言えばだいぶ多いといえるかもしれません。
一方高層のマンションが建っているのは都市部に限定されてきます。
お探しのエリアにおいては、木造アパートは絶対に嫌だ!という考えで物件を探すと、住みたいエリアに物件がほとんどない!なんてことにもなりかねません。
実際、私の実家の近くや大学で住んでいたエリアでは、鉄筋コンクリート造の共同住宅は全然ありませんでした。
通気性がいい
木造の建物は、ものすごく簡単に説明すると、木材で骨組みを組んで、壁となる板を張り付けて組み立てています。
もちろん断熱材や隙間を埋めるための充填材やシートなども使われていますが、どうしてもコンクリートで壁を作るということよりは空気の通り道は出来てしまいます。
これは、言い換えれば通気性が高く、湿気がこもりにくいというメリットになります。
昔の建物は空気の入れ替えが自然に行われ、カビも生えにくい環境でした。同じ感覚で最新の高気密のマンションに住んでしまうとすぐにカビが生えた!という話になってしまう方が多いです。
また、夏は当然部屋は暑くなるのですが、コンクリートと比べ熱を放出しやすく、空気も入れ替わるため夜になるにつれて部屋も冷えて快適ともいえるでしょう。
空間を活用しやすい
木造のアパートは木材を組み立てているため、太い柱や梁が必要ない場合が多く、クローゼットの中や部屋の中に太い柱がない場合が多いです。
テレビ台を部屋の隅に寄せたいけど柱があってそこまで寄せられない!それに柱の角の部分で空間が開いてしまって微妙に何も置けない!なんたことも。
クローゼットの中であれば、この柱がなければきれいに置けたのに!なんてことも。

壁に物を掛けやすい
私が一番木造アパートをお勧めしたい理由がこれです。
コンクリートの壁には画鋲やフックをつけることができません。
賃貸物件では、コンクリートに好きに穴をあけていいよということは少ないため、ここに服をかけて飾りたい、プロジェクターを掛けたい、といったときに制限が生まれてしまいます。
木造であれば、さすがに大きい穴はあけることは難しいですが、画鋲程度であれば原状回復を求められることも基本ありませんので、好きな位置に設置することができます。
コンクリート壁でないところであれば、内装ボードで軽いものなら画鋲をつけて掛けられますが、やはり木材の下地がある位置に固定したほうがいいという重さのものを掛けるときの安心感は欠かせないものがあります。

木造アパートを選ぶデメリット
では一方で、デメリットはどんなことがあるのでしょうか。
実際に住んでみて、そして様々な物件を見てきて感じたことを今回は正直に白状しようと思います。
- 耐火性の低さ
- 防音性の低さ
- 虫の発生のしやすさ
- 気密性の低さ
耐火性の低さ
2025年1月のロサンゼルスの山火事による大規模火災が発生していましたね。
町一帯が焼け野原になってしまっている画像を見られた方も多いと思います。大豪邸が多いイメージがあったと思いますが、意外なことに木造の建物が多く、すぐに延焼していきここまでの被害となってしまっているという側面があります。
もちろん難燃性に加工されているなどの技術も近年はありますが、やはり鉄筋コンクリート造と比べると延焼しやすいというのは木造の建物の性質といえるかもしれませんね。
防音性の低さ
やっぱりこれが気になるなと言われる方が多いと思います。
私もこれは書かないといけないと思って2個目に記載することにしました。
しかし少しだけ待ってください。なぜ木造住宅は防音性が低いといわれるのでしょうか。
音は質量が大きいものほど透過しにくい性質があります。もちろんコンクリートや鉄と比べて木は質量が軽いため響きやすいといえるかもしれません。
また、木造は骨組みに合板や石膏ボードを張り合わせて壁を作っていますので、空洞があり音が増幅されるなんてことも考えられます。
もちろんそれを解消するために、壁の間にグラスウールなどの断熱材を充填していたり、防音シートを挟む、二重壁を作って透過しにくくするなど様々な工夫もされており、全然気にならないという物件もあることでしょう。
ここでしっかりと理解いただきたいのは、じゃあやっぱり鉄筋コンクリート造の建物のほうが音に悩まされないんだ!と考えない方がいいという点です。

鉄筋コンクリートの建物は、壁と壁の間を広くとることが出来るのです。
そう、勘の良い人はお気づきかもしれませんが、じゃあ1DKの物件を作ろうとしたときに、わざわざコストをかけて構造上必要でない壁をコンクリートで作るのかな?というところです。
もちろん高級な物件で品質至上主義ということであれば、コンクリートで作るかもしれませんが、大半のオーナーはならそこは普通に木材(もしくは鉄骨)で骨組みを作って壁を組んでしまった方が安く済むよねとなるのです。
そうすると、あら不思議。隣からの生活音は木造住宅と何ら変わりません。
間取りが左右反転で同じだったため、ベッドの位置もおそらく同じだったのでしょう。横のおじさんのいびきが毎日聞こえてきていました。
この点は図面を見ても書いていないこともあります。物件を内見される際には、必ず不動産屋さんに確認したり、現地でコンコンと叩いてみて確認をしてみましょう。
それに上下の音に関しても2階建ての2階に住むなら足音は気にする必要がないですからね。
2階角部屋ベッドは隣の部屋と遠いところということであれば、生活音で寝られないということは木造アパートでも少ないでしょう。
虫の発生のしやすさ
これは構造の問題ではないのですが、木造アパートは低層であることが大半です。
そうするとどうしても虫が発生しやすいといえます。
もちろん最近の建物で気密性もしっかりしているということであっても、網戸の多少の隙間から入ってきたり様々です。
私もゴキブリだけは絶対に無理なのですが、大学時代に住んだ古い木造アパートでは悩まされました。
そこでアース製薬のブラックキャップを試してみたところ、それ以降一度も見ることはなくなりました。
![]() | 価格:675円 |

こちらは食べた個体はもちろん巣に帰りその死体を食べた個体もやられてしまうため、一網打尽に出来るのです。
絶対に見たくない!という方はぜひお試しください。
逆に長期休暇で実家に帰った時に久々にゴキブリを見て、即座にドラッグストアに買いに行って設置しました。それ以来、実家でも出なくなったとの話を聞いています。
悪い点は12個入りなのですが、一人暮らしではすべて使うほど広くないという点でしょうか。
気密性の低さ
メリットでお話したことと反対にはなってしまいますが、空気が自然に入れ替わるということは、冬は部屋が寒くなりやすいということに繋がります。
夏と比べ冬は温めた空気を少しでも出したくないと思うところでしょう。
また、湿気が室内にこもりやすいため、結露しやすくカビが発生しやすいのも圧倒的に鉄筋コンクリート造の建物になります。
結露や健康を考えれば自然に空気が少量ずつ入れ替わるということは、メリットデメリットどちらともいえるかもしれませんね。
実際に、シックハウス症候群は気密性が高くなってしまったため、建材から出ていた成分に反応し、頭痛やめまいをを発生させているのでということが理由の一つとして考えられており、近年の建物では24時間換気を導入することが2003年義務化されました。
このように木造のアパートにはデメリットはもちろんあります。
特に文章量からわかる通り防音性の低さはどうしても切っても切れない話でしょう。
木造アパートがおすすめな人
これらをまとめると木造アパートにおすすめな人は以下のイメージかなと思います。
- とりあえず安く住みたい
- 多少の音は気にしない
- セキュリティは重視しない
- 内装にこだわりたい
こういった人であれば、無理に鉄筋コンクリート造や鉄骨造を選ぶメリットはないのではないかなと思います。
実際私も今は木造アパートに住んでいます。
特に最近は新NISAを皮切りに、投資がブームになってきており、「入金力」というキーワードが話題になっています。
収入は簡単に増やせるものではありませんが、支出は生活次第でいくらでも減らせます。
こちらの記事でも記載しましたが、家賃というのは支出の中で大きい割合を占めていますので、ここを改善することで自由になるお金を簡単に増やすことが出来るでしょう。

まとめ
今回は木造アパートって実際どうなのかということをお話ししました。
実家が一戸建てで初めての一人暮らしであれば、自分がどの程度周りの環境に許容できるかというのもわからないと思います。
古くない建物であれば、各社建築会社も様々な防音対策をしているため、思ったよりも気にならない!ということも多いことでしょう。
逆に女性でセキュリティを気にするから高層の階でオートロックは必須などであれば、木造アパートは候補にはならないと思いますが、そういったことでなければ、周りからの声で候補から外してしまうのはもったいないなと私は思います。
もしアパートに住んでいて騒音問題で悩んでいる方は、以下の記事もぜひご確認ください。
